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高松地方裁判所 昭和24年(行)10号 判決

原告 香川県運送株式会社

被告 香川県地方労働委員会

一、主  文

被告が原告に対し昭和二十四年九月十日なした別紙命令書記載の命令中前田聖一に関する部分は全部取消す。

訴訟費用中参加によりて生じた部分は参加人の負担として其の余は被告の負担とする。

二、請求の趣旨

原告訴訟代理人は主文第一項同旨並に訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求めた。

三、事  実

被告は原告に対し昭和二十四年九月十日別紙命令書記載の如き命令をなし即日その命令を原告に手交した。

右命令に於て被告は原告に労働組合法第七条第一号の違反があると認めたが、その認定は次の通り違法である。

原告会社は昭和二十四年三月末の決算期に大欠損を生じ経営維持危殆に瀕しそのまま推移すれば多数従業員を失業の惨事に直面せしめることになるので更生乃至再建的措置は緊急状態にあつたため新たな整備方式を労資双方合作で協定し人事権は各経営責任者に一任することとなり原告代表者安倍六造は右協定に基き原告会社整備の結果過剰となるべき従業員の職場斡旋に奔走したが功を奏せず原告は止むなく前田聖一等七名を解雇したものであつて、仮りに原告会社が当時右の如き緊急状態でなかつたとしても前田聖一には懲戒解雇に値する非行があつたものである。

すなわち同人は

イ、原告会社入社当時肺患を隠蔽し原告を欺いて入社し、昭和二十四年一、二、三月中は全然原告会社に出勤せず

ロ、原告会社の業務上の秘密を漏らして原告に損害を与え

ハ、帳簿の記載は明確を旨とすべきにかかわらず同人独特の符号を記載し社内にも同人以外の者には理解し得ない施策をなし同人担当事務の急速整理を他の従事者において代理執行することを不能ならしめ原告をして会社の赤字対策を施行する術なからしめた外

ニ、故意に事実を曲げ陥穽を設けて原告に損害を蒙らしめ

ホ、原告の伝票を紛失した

事実があつて原告は前田聖一を前記の如く一応整理解雇したのであるが同人に対しては懲戒解雇するに充分の事由があり原告会社従業者側も前田聖一を原告会社の被整理者中に計上していたところであつた。

以上いずれの点からしても原告のなした前田聖一に対する解雇は何等労働組合法第七条第一号に関係なきものである。加之参加人前田聖一は昭和二十五年六月二十三日原告に対し原告が経営困難による整備のため昭和二十四年六月三十日同人を整理解雇したことは正当であることを承認し本件命令書記載の同人の地位権利は当初に遡り真実不存在なることを確認し仮りに存したとしてもその全部を抛棄することを認めその旨の覚書(甲第一号証)を差入れたから原告はさきに昭和二十四年七月二十日前田聖一の整理解雇による給与規定に基く給与金を同人に支払い同人においても亦何等の異議を留めず承認受領した次第であつて参加人前田聖一に関する限り被告の原告に対する本件命令はその基礎を失つたものである。

以上の次第であつて被告のなした本件命令中参加人前田聖一に関する部分は明に違法であるからその取消を求めるため本訴に及んだと述べた。(立証省略)

被告訴訟代理人は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として被告が原告主張の日その主張の如き命令を原告に対しなしたことは認めるが被告が右命令をなすにつき違法があつたとの原告の主張は之を争う原告会社がその主張の如き営業状態に陥つたため所謂労資合作の下にその主張の如き整備方式を定めたことはすべて不知、又前田聖一に原告主張の如き非行及び欠点があつたことは全部争う、但し右前田聖一が原告に対し其の主張の如き承認をなした事実は認めると述べた。(立証省略)

被告補助参加人は同人が原告に対しその主張の如き承認をした事実は争わない。(立証省略)

四、理  由

被告が昭和二十四年九月十日原告に対しその主張の如き命令をなしたことは当事者間に争がない。然るに参加人前田聖一は昭和二十五年六月二十三日原告に対し原告が曩に同参加人を整理解雇したのは正当解雇であつたことを認め右命令書記載の同人の地位権利は当初から存在しなかつたことを承認した事実も亦当事者間に争のないところであるされば同参加人は右解雇につき原告の不当労働行為を主張してその救済を求むる権利を抛棄したものと認められるから本件命令は前田聖一に関する部分においては既に其の基礎を失うに至つたものというべく従つて右命令は前田聖一に関する限り全部これを取消すべきものである。

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十四条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 岡村連 勝本朝男 宮本勝美)

別紙命令書<省略>

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